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土地の固定資産税の計算とその軽減措置

  • コラム
土地の固定資産税の計算とその軽減措置

土地を所有する上で発生する固定資産税は、計画的な資金管理のためにその計算方法と軽減措置を理解しておくことが非常に重要です。

特に、住宅用地に対する特例措置は税負担を大きく左右するため、その内容を把握しておくことで、より有利な税務処理が可能になります。

今回は、土地の固定資産税の計算方法から、適用される様々な軽減措置までを詳しく解説します。


□土地固定資産税の計算方法

土地の固定資産税は、基本的には「土地の評価額」に「税率」をかけて計算されると思われがちですが、実際には「課税標準額」という、税率をかけるもとになる金額が用いられます。

この課税標準額は、原則として固定資産税評価額と同額となります。

しかし、住宅用地に対する特例措置などが適用される場合には、この課税標準額は固定資産税評価額よりも低く設定されるため、税負担が軽減されることになります。

*土地の評価額を知る

土地の評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、各自治体が個別に決定するもので、この評価額は3年に一度「評価替え」によって見直されます。

評価替えが行われる年度は「基準年度」と呼ばれ、この基準年度の価格が、原則としてその後の2年間も据え置かれます。

土地の評価額は、毎年5月頃に送付される固定資産税納税通知書に記載されている「価格」の欄で確認することができます。

より詳細な評価額や、その算出根拠を知りたい場合は、市区町村の役所の固定資産税課税担当窓口で、固定資産評価証明書や公課証明書を取得するか、固定資産税課税明細書を確認することで調べることができます。

これらの書類には、土地の地積、評価額、課税標準額、税相当額などが明記されており、ご自身の土地にかかる税金の詳細を把握するための重要な情報源となります。

*税率と計算式

固定資産税の計算式は、前述の通り「課税標準額 × 税率」となります。

この税率は、地方税法により各自治体が条例で定めることができますが、多くの自治体では地方税法で定められた標準税率である1.4%を採用しています。

したがって、特別な条例が定められていない限り、多くの土地で1.4%の税率が適用されることになります。

また、土地には固定資産税と合わせて都市計画税が課税される場合があります。

都市計画税も同様に「課税標準額 × 税率」で計算されますが、こちらは土地の用途地域によって税率が異なり、上限が0.3%と定められています。

具体的な計算例を見てみましょう。

例えば、ある土地の固定資産税評価額が3000万円で、その土地全体が住宅用地の特例措置のうち、小規模住宅用地(住宅1戸につき200m²以下の部分)に該当するとします。

この場合、固定資産税の課税標準額は評価額の1/6に軽減されます。

課税標準額:3000万円 × 1/6 = 500万円

固定資産税:500万円 × 1.4% = 7万円

このように、住宅用地の特例が適用されることで、課税標準額が大幅に軽減され、結果として固定資産税額も大きく低くなります。

もしこの土地が都市計画区域内にあり、都市計画税も課税される場合、小規模住宅用地の都市計画税の課税標準額は評価額の1/3となります。

都市計画税課税標準額:3000万円 × 1/3 = 1000万円

都市計画税:1000万円 × 0.3% = 3万円(上限税率の場合)

合計税額:7万円(固定資産税)+ 3万円(都市計画税)= 10万円

この例から、住宅用地の特例がいかに税負担を軽減するものであるかが理解できるかと思います。


□土地固定資産税の軽減措置

土地の固定資産税には、税負担を軽減するための様々な特例措置や減免制度が設けられています。

これらの制度を正しく理解し、ご自身の土地の状況に合わせて適切に活用することで、税負担を効果的に抑えることが可能です。

*住宅用地の特例

住宅用地として利用されている土地には、税負担を軽減するための最も代表的な特例措置が適用されます。

これは、住宅の敷地面積に応じて、固定資産税および都市計画税の課税標準額が減額される制度です。

この特例措置は、良好な居住環境を維持・促進することを目的としています。

  • 小規模住宅用地
    住宅1戸あたり、敷地面積のうち200m²までの部分が小規模住宅用地とみなされます。
    * 固定資産税の課税標準額は、「価格(評価額) × 1/6」となります。
    * 都市計画税の課税標準額は、「価格(評価額) × 1/3」となります。
  • 一般住宅用地
    小規模住宅用地を超える部分の土地が一般住宅用地とみなされます。
    固定資産税の課税標準額は、「価格(評価額) × 1/3」となります。
    都市計画税の課税標準額は、「価格(評価額) × 2/3」となります。

これらの住宅用地の特例措置を受けるためには、原則として毎年1月1日(賦課期日)時点で、その土地の上に人が居住する家屋が建っていることが条件となります。

ただし、住宅の建て替え中であっても、一定の期間内であれば住宅用地として認められる場合があります。

例えば、家屋を取り壊してから一定期間内に新たな家屋を建築し、居住を開始した場合などです。

この期間や要件については、自治体によって詳細が異なる場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。

*その他の軽減制度

住宅用地の特例以外にも、固定資産税の負担を軽減するための様々な制度が存在します。

  • 負担調整措置

土地の固定資産税評価額は3年に一度見直されますが、その評価額が急激に上昇した場合、税額もそれに伴って大きく上昇してしまう可能性があります。

このような税額の急激な上昇を緩和するために、負担調整措置が講じられています。

具体的には、土地の「負担水準」(前年度の課税標準額等÷今年度の価格等)に応じて、今年度の課税標準額を今年度の価格よりも低く設定する場合があります。

この措置により、評価額の上昇がそのまま税額の上昇に直結しないよう、税負担の急激な増加が抑えられます。

多くの地域では、負担水準が一定以下の場合に、前年度の課税標準額に一定の率を乗じた額を課税標準額とするなどの調整が行われています。

  • 減免制度

一定の条件を満たす場合、固定資産税・都市計画税の減免(税金が免除または軽減されること)を受けられることがあります。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 災害による損壊
    地震、火災、風水害などの災害により家屋が損壊し、居住できなくなった場合。
  • 生活困窮者
    生活保護を受けているなど、経済的に困窮している場合。
  • 公益事業用資産
    非営利の福祉施設や学校など、公益性の高い事業に供されている土地や家屋。
  • 条例による減免
    一部の自治体では、独自の条例に基づいて特定の土地や家屋に対する減免制度を設けている場合があります。
    例えば、税額が前年度の一定割合(例:1.1倍)を超える土地に対して、その超える部分について減額する条例減額などが実施されています。
  • 被災住宅用地
    地震やその他の自然災害により、住宅が滅失または損壊し、住宅用地として使用できなくなった場合、被災した年度の翌年度及び翌々年度の2年間について、住宅用地と同等の特例措置(小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減率)が適用されることがあります。
    これにより、被災された方の税負担を一時的に軽減し、再建を支援する目的があります。

これらの軽減措置や減免制度を適用するためには、多くの場合、ご自身で市区町村の窓口に申告する必要があります。

土地の状況に変更があった場合(家屋の新築、増築、取り壊し、用途の変更など)は、その変更があった日から一定期間内に申告することが法律で定められています。

速やかに申告を行うことが、正確な税額の算定と、不利益を被らないために非常に重要です。


□まとめ

土地の固定資産税は、土地の評価額と税率に基づいて計算されますが、特に住宅用地として利用されている土地には、小規模住宅用地や一般住宅用地といった区分に応じた特例措置が適用され、課税標準額が大幅に軽減されます。

この軽減率は土地の面積によって異なり、税負担を大きく左右します。

また、評価額の急激な上昇を抑えるための負担調整措置や、災害時、生活困窮者などに対する減免制度も存在します。

これらの軽減措置や減免制度を適用するためには、多くの場合、ご自身で市区町村に申告する必要があります。

土地の購入や所有にあたっては、これらの税金に関する知識を深め、ご自身の土地の状況に合わせて適切な手続きを行うことが、賢明な資産管理につながります。

固定資産税は毎年継続して発生する税金ですので、制度を理解し、有利な税務処理を行うことが、長期的な視点で資産を守る上で不可欠と言えるでしょう。

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